13-03:経営の落とし穴(コミュニケーション編)

整体院を成功させるまでには、失敗に誘うさまざまな落とし穴があります。
よくある実例に基づいた失敗をご紹介いたしますので、転ばぬ先の杖としてご活用いただければと思います。
こちらではコミュニケーションの落とし穴についてお話しさせていただきます。

×場に適したコミュニケーションが取れない

治療家は症状をよく把握するために患者とさまざまな話をしなければなりません。
初回来院時には、施術方法の説明や症状の聞き取りなどを行い、2回目以降は治療効果や状態の確認を行います。
簡単そうですが、心身を病んでいる患者は非常にナーバスです。
少しでも不適切な言葉を発したり、場の空気を読まない発言をすると、それだけで患者は違和感を持ってしまい、通院をやめてしまうことがあるのです。
患者の状態を適切に把握し、場に適した言葉を吟味して使わなければなりません。
こうしたコミュニケーションが適切に取れるようになるにしたがって、キャンセルが減り、紹介が増え、加速度的に来院数が増えてきます。この適切なコミュニケーションというものは、形として見えにくいため見過ごされがちですが、原因不明のキャンセルが発生したり、クチコミが発生しない、患者との関係が今一つよくない場合には、ぜひ見直しが必要でしょう。

×患者に苦手意識をもってしまう

人の心は自分の心の鏡と言いますが、これは患者と治療家にもしっかりと当てはまります。患者の心は治療家の心にシンクロして動きます。治療家が患者の来院を楽しんでいれば、患者も通院を楽しんでいますし、治療家が「あの患者は苦手だな」と考えれば、患者も「あの治療家とは波長が合わない」と感じるものです。
当然ながら整体院を流行らそうと思えば、多くの患者に来院してもらう流れを作らなければなりません。
治療家が患者の来院を心から楽しめるようになれば、患者も楽しんで来院し、治療自体も楽しくなります。患者と良好なコミュニケーションを築けるので、治療効果も大きく高まります。結果的にあなたの整体院を訪れる患者は飛躍的に増えていくことでしょう。
整体院成功のためにも、個人的な好き嫌いは度外視して、どの患者に対しても来院を喜び、心から歓迎するというスタンスを持つように心がけましょう。

×患者の対応に差をつけてしまう

治療家はすべての患者と均等な距離を保つことが大切だと、私は考えます。もちろん素行が悪く絡んでくるような患者に対しては、治療の前段階で毅然と断ることも時として必要です。しかしそれ以外の患者に対しては、敬意をもって均等な距離を保つことが望ましいのです。
他の業種においても、プロの接客業の人たちは、性別、年齢、身分などを問わず、すべての顧客に対して均等な距離で接しているものです。年齢や地位の高い人には媚びて、そうではない人には上から目線で扱う。こういった対応は絶対にしないものです。プロは誰に対しても平等、この対応と距離感が患者に安心感を与え、心地よい信頼関係をつくり上げます。
治療家という仕事も、接客のプロフェッショナルでなくてはなりません。プロの治療家としてできるかぎりすべての患者に対して均等な距離で接しなくてはならないのです。
もちろん、距離を取りすぎてもよくありません。
患者にとってほどよい近さになるさじ加減が重要です。ここで注意しなければいけないのは、患者に近すぎないということです。距離を縮めすぎると、患者側に甘えが出て無理なお願いをされることもあるでしょう。友人になってしまうと、治療家の重みが薄らぎ、治療効果が発揮されにくくなります。
また、他の患者は敏感に察知します。特定の患者に対して親切だということが伝われば「同じ料金を払っているのにえこひいきではないか…」との印象をもたれ、患者が離れていってしまうケースもでてきます。
治療家と患者は遠すぎても近すぎてもダメ。すべての患者に対して互いに敬意を保てる絶妙な距離感を会得し、維持していただければと思います。

×感情を押し殺してしまう

世の中には感情を押し殺して生きている人、感情をうまく表にだせなくなってしまっている人がいます。
しかし、整体院経営で成功を目指す際は、豊かな感情の表現が不可欠な要素といえます。
というのも、患者は自分自身の感情を大きく揺さぶってくれる治療家に惹かれるからです。
治療家の感情が高揚し、それに共鳴して患者が心揺さぶられる。その感覚が味わいたくて通院する部分があります。つまらない治療家には会いたくないと思ってしまうのです。
もちろん、小さなことで一喜一憂することではありません。自分でコントロールできるよ感情のアップダウンに抑制をかけて使いこなせることが前提です。

×人の感情を把握できない

人の感情を繊細に把握できないようでは、治療家として成功するのは難しいでしょう。
上にも書いたように、心身を病んだ患者は非常にナーバスになっています。些細な一言で傷ついてしまい、二度と通院してくれなくなってしまいます。
成功している治療家は、患者の心の動きを繊細に感じ取り、自らの発する言葉に神経を行き届かせ、不快な思いをさせない努力を怠りません。
感情を読むことは、学生時代のクラブ活動の上下関係や組織の中で失敗し痛い目に遭うことで、自然に身についてくるものです。しかし、そのような厳しい人間関係を経験することなく過ごしてきた人は、相手の状況を見ながら話すという経験が乏しいため、相手の感情に配慮することなく話してしまうところがあります。こういった人は患者に不快感を与えてしまうことも多くなり、成功することが難しくなるのです。
もし皆さんが人の感情を把握することが苦手でしたら、性根を入れて目の前の人の感情を把握する練習に取り組んでください。そしてナーバスになっている患者に対して心地よいコミュニケーションが取れるよう努力してください。

「独立開業の基礎知識:整体業界~現場で使える5つのスキル②(コミュニケーション術)」も併せてご参照ください。

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