医師が研修医を経たのちに専門医になるように、整体師もスクール付属の治療院やアルバイト先の治療院などといった”研修所”で、スクールで学んだスキルを現場で使えるものにつくり上げる実習を行います。
学んだ技術を現場で使い、実際にその効果を体感しながら自分のものになるように改良すること。患者と向き合い、さまざまな経験を積みながら、治療に対する理解を深めていくこと。
この過程を経て、ようやくスクールでの教えが自分自身の治療技術として身につけられるのです。
このプロセスは整体院経営を成功させるためには避けて通れない道です。研修所もどこでもよいというわけではありません。
では、治療経験を積むための研修所の選び方について説明していきましょう。
スクール付属の治療院か、ほかの治療院か
研修所としての一番のおすすめは、スクール付属の治療院です。
スクール付属の治療院は、ほぼ自分が学んだ技術を提供しているので、学習効果を確認しながら経験を積むにはうってつけの場所です。先輩やスクールの講師たちにさまざまな質問をしながら、多くの患者に治療を提供できる環境なら、それがベストでしょう。
ですが、スクールに付属の治療院がない場合や、患者が少なく経験が積めない場合、講師が不在がちな場合は、他のアルバイトできる治療院を探しましょう。
スクール付属の治療院であれ、他の治療院であれ、研修所に選ぶなら、とにかく効率的に実力が身につく点が重要です。
効率的に実力が身につく研修所の条件
①自分の学んだ技術と近い
よい研修所の条件の一つめは、自分の学んだ技術と近い技術を使っている治療院だということです。(スクール付属の場合はそうなっています)
研修所は、自分の学んだ技術を先輩や院長からの指導を受け、患者に対応できる本物の力に育てるための場です。自分の学んだ技術とは違うものを一から学びなおすようでは時間のムダになりますし、研修所としての意味をなしません。
実際にも、学んでいる技術と関係ない治療院でアルバイトをしている人が大勢います。鍼灸を勉強しているのに足つぼマッサージの店でアルバイトをしたり、カイロプラクティックを勉強しているのにあん摩マッサージ指圧院でアルバイトをしていたり。
確かに人の体を触る点においては多少の経験になるかもしれませんが、まったく違う技術を使っている治療院での研修は、自分の核となる技術に関してほとんどプラスにならないので、できるかぎりこういうムダな時間をすごさないことをおすすめします。
②早い段階で患者に触れることができる
研修を開始してすぐに患者に触れることはできません。
はじめは院内の仕事の流れを学んだり、掃除や雑用から始めることが多いかと思います。これらは自分が開業した際にやらなくてはならないことですので、意義のある仕事です。しかし、何カ月経っても雑用しかさせてくれない治療院はおすすめできません。
みなさんが治療現場で経験を積めるように、空き時間に治療の提供方法や対応手法などを指導してくれ「とにかく経験を積ませてあげよう」という姿勢をもつ治療院を選ばなければならないのです。
雑用などで便利に使い、長期間飼い殺しのような形で働かせるような治療院は成功への道程に大きく影響しますので避けた方がよいでしょうし、間違って入ってしまった場合は早めに見切りをつけましょう。
③多くの患者に喜ばれ、流行っている
多くの患者に喜ばれ、流行っている治療院を研修所に選びましょう。流行っている治療院には学ぶべき材料がたくさんあります。たとえば、患者に対する接遇や心遣い、治療効果を高めるための細かいコツなど、治療技術自体の効果はもちろん、授業では学びきれない経営の本質を数多く学べると思います。
また、多くの患者が通っている治療院では、自分で治療をさせてもらえるチャンスが多いので、経験を蓄積するという点からしても非常に有意義だと思います。
④整体院経営について学べる
単に施術の経験を積めるというだけではなく、経営全般について学べる治療院は、よい研修所だといえます。
整体院経営を成功させるためには、単に患者を治せばよいというわけではなく、集客や院内管理、スタッフの育成手法などの経営についても詳しく学ばなければなりません。
これらについて学べるチャンスがありそうかどうかも、研修所を探す際の基準として持っていただければと思います。
⑤人間関係がよい(=経営者の手腕)
人間関係のよい研修所を選ぶことも大切だといえます。
実習をしながらともに過ごす先輩や同僚たちはスクールの仲間同様に大切です。よい関係が築ければ、学ぶ意欲もわいてきますし、悩みや相談もしやすいのでスキルの向上速度も高まると考えられます。また、そういう職場の雰囲気をつくりだせる院長の経営手腕を学ぶよい機会でもありますね。
⑥メンター(=賢明な助言者)に適した人がいる
スキル全般に関して適切なアドバイスを親身に指導してくれる人がいる治療院はおすすめです。
こちらで説明したすべてのポイントを備えている研修所は少ないかもしれません。もし、見つからなければ”自分の学んだ技術と近い””早い段階で患者に触れることができる”の2つを満たしているところを選びましょう。
くれぐれも「時給が高い」「仕事がラクそう」などという基準だけで研修所を探さないでください。
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