整体院経営は、基本的には楽しいものです。
患者に喜んでもらえ、その収入で経済的にも豊かな暮らしもできる。かなりやりがいのある仕事だと思います。ただ、どんな職業でもリスクはつきものです。
ここでは、6つのリスクをご紹介します。
①自営業というリスク
一国一城の主である経営者は、すべての責任を自分で負わなければなりません。経営がうまくいかないときは軌道修正が必要でしょう。患者とトラブルが起これば自ら対応・解決することが必要になります。すべての判断を自分で行い、そのリスクを負わなければなりません。どの業種の自営業者にもあてはまるリスクです。
②経費
開業形態によっては経費がほとんどかからない場合もありますが、テナントに入って開業した場合は、テナント料・光熱費・通信費・広告費などの経費が掛かります。経費がふくらんで閉業となるキケンは避けたいもの。経営を維持するためには、経費を抑え、経費を頭に入れてその分を上乗せした収入を得る必要があります。
③同業者からのいやがらせ
無言電話をかけてきたり、患者のふりをしていやがらせに来ることが、実際にあるようです。
④セクハラ
施術時に人の体に触れるわけですので、セクハラ問題は切り離せません。男性が女性を治療する場合は特に気をつけなければなりません。ちょっとしたことでセクハラととられる場合があります。きわどい部分には触れない。触れる場合はその意図をしっかり伝え、同意を得ることが大切です。
女性が男性を施術する場合は、密室に二人きりになるのを避けましょう。できればスタッフを雇う。または女性患者専門で開業することをおすすめします。
⑤法律違反
整体院は、病院ではありません。
医師以外の「診断行為」は禁止されています。
「これは椎間板ヘルニアですね」
「これは胃潰瘍ですね」
などと言ってしまうと医師法違反となります。
また、健康食品を販売する場合、
「○○という病気に効きます」
などと言う行為は薬機法(旧薬事法)違反となります。
もちろん、投薬・麻酔・手術など人体に悪影響をあたえる可能性のある行為は一切禁止されているので、注意してください。
⑥施術中の事故
施術によって患者の体を傷つけてしまうリスクがともないます。
例えば、高齢で骨が弱くなっている人に対して強い力をかけると骨が折れる場合があります。この手の事故は、どの整体院でも起こり得ます。常に注意を払い、回避する必要があります。整体以外の治療院でも、カイロプラクティックで血管や神経を傷つけてしまったり、鍼灸治療でやけどを負わせてしまうこともあります。このような事故は、往々にして施術に慣れてきたころに起こります。事故の程度によっては、整体院を閉鎖せざるを得なくなりますので、常に注意を払ってください。
このように独立開業にはリスクが伴います。しかし決してひるむことはありません。大切なのは、リスクがあることを知り、常に対処できるようにしておくことです。
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