体の調子を整えること。
これは私たちみんなの望みです。
子供のころ、家族に肩たたきをしたり、腰をもんだりして喜ばれた思い出のある方もいらっしゃるかもしれませんね。
こちらでは、人の体に貢献することを業とする場合、法的にはどのように位置づけられるのかについてご説明させていただきます。
医療行為と医業類似行為
法律上、病名の告知や投薬、手術などの”医療行為”は医師法で定められた医師のみが行なえます。
ですが、実際に町に出てみると病院やクリニック以外にも整体院や整骨院などたくさんの看板が掲げられ、医療行為以外で多くの方々のサポートをしていることがわかります。
そのような、医療行為以外を行う民間療法は”医業類似行為”と呼ばれています。
二種類の医業類似行為
”医業類似行為”は、二つに分類されます。
一つは、法的な資格制度のある行為。
あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の4種に限られます。
これらを行うには必ず免許(国家資格)を取得しなければならず、違反すれば処罰の対象となります。
整骨院、接骨院、鍼灸院などがそれにあたり、健康保険、労災取扱いがあります。
もう一つは、法的な資格制度のない行為。
あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師以外のすべて。カイロプラクティック、整体など、西洋医学、東洋医学を問わず様々な民間療法がこちらになります。
免許、届け出は必要なく、学校を卒業したり団体に所属することで民間資格を得ることもありますが、法的な効力はありません。
整体院、○○式マッサージ、カイロプラクティックなどが該当し、健康保険、労災の取り扱いはありません。
判例に基づく解釈
後者の”法的な資格制度のない医業類似行為”について、興味深い裁判がありました。
ここで問われたのは、ある高周波治療業者が”あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法”の「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」という規定にに反しているかどうかです。
最高裁判決では「医業類似行為の施術が、人の健康に害を及ぼすおそれがあることを限定として禁止対象となる」つまり、人体に危害がなければ職業選択の自由が尊重されるという意思が示されました。
その判例が今の”医業類似行為”の在り方の基盤となっています。整体やカイロプラクティックなど免許の要らない”医業類似行為”は「人の健康に害を及ぼすおそれのない業務行為」であれば、法的に認知されているという解釈になります。
この昭和35年の判決をきっかけに、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師以外の”医業類似行為”も、大きく広がりを見せ、より生活に根付くものとなったのです。